『余市マチヅクリ大学』開講!

余市マチヅクリ大学2026

これまでの荒井ゼミの活動

これまで、札幌マチヅクリ大学の「荒井ゼミ」では、「ワインとまちづくり」をテーマに活動してきました。
活動の舞台は、かつてブドウ畑があり北海道のワイン造りと深い関わりを持つ「創成イーストエリア」。
荒井キョージュとともに地域の歴史を学びながら、ワインを活かしたまちづくりの方法を探り、北海道神宮頓宮でのイベント開催など、歴史と食を掛け合わせた実践的な取り組みを行ってきました。

下町ランウェイ(荒井ゼミ)
2025年に二条市場にて開催された「下町ランウェイ」に出店した、荒井ゼミ3期生と荒井キョージュ

活動の舞台は余市へ

この荒井ゼミでの学びをベースに、知識をリアルな地域へと広げる実践型フィールドワークとして「余市マチヅクリ大学」を開講しました。舞台は、日本有数のワイン産地である余市町です。
今回は、これまで余市を訪れたことがない学生や、普段ワインに馴染みがない学生も積極的に巻き込みます。
現場でワイナリーや地域を支えるキーパーソンから直接話を伺い、ワインを起点に「人・産業・観光・まち」がどのように紡がれているのかを体感していきます。
フィールドワークの締めくくりには、現地での発見をもとに「余市の新しい楽しみ方」や「届けたい相手」をイメージしたアイデアをツアーとして形にします。
「地域を知り、自分の視点を持って、魅力を誰かに伝える」という一連のプロセスを、自らの手で実践することを目指しています。

いよいよ余市マチヅクリ大学スタート!

当日の集合場所はJR余市駅。
札幌マチヅクリ大学の修了生や北海道科学大学の学生たちが続々と集まり、久しぶりの再会に会話を弾ませるガクセーや、初めてのマチ大参加に少し緊張した様子のガクセーなど、それぞれが期待を胸に活動のスタートを待ちました。
全員がそろったところで、弓野ガクセー課長から2日間の活動内容や注意事項などについて説明が行われ、いよいよ1泊2日の「余市マチヅクリ大学」がスタートしました。

Day1-歩いて、きいて、考える

活動1日目は、余市のまちを実際に歩き、地域で活動する方々との出会いを通して、余市ならではの魅力を探っていきました。
午前中はグループに分かれ、地域で活動する方々へのヒアリングを行いました。ただお話を聞くだけではなく、まちを歩きながら昼食を購入し、さらに夜の交流会に持ち寄る食材をそれぞれ調達することも、この日のミッションです。

ヒアリング活動を終えたガクセーたちは、JR余市駅に隣接する観光物産センター「エルラプラザ」に集合し、それぞれのグループで聞いた話や発見したことを共有しました。
発表では、ヒアリングした内容だけでなく、実際にまちを歩いて感じたことや、各グループが調達した食材についても紹介されました。
同じ余市のまちを歩いていても、グループによって見つけたものや着目したポイントはさまざま。互いの発見を共有することで、余市の魅力をより多角的に知る時間となりました。

午後からは、ヒジョーキンコーシとしてFour Hearts Cafe代表の大木貴之さんをお迎えし、山梨からオンラインで、ワインを起点とした地域づくりについてお話しいただきました。
大木さんからは、「ワインツーリズムやまなし」の取り組みや、実際に活動を続ける中で得られた知見などをご紹介いただきました。
ガクセーからは、「イベントを開催する際、どのように参加者を集めたのか」といった具体的な質問も挙がり、これから自分たちが余市でツアーを考えていくうえでのヒントを探りながら、お話に耳を傾けました。

続いて、2人目のヒジョーキンコーシとして、フランス・ブルゴーニュ在住の石黒かおりさんをお迎えしました。
石黒さんからは、ブルゴーニュで暮らす中で日々感じている、歴史あるワイン産地と、そこに暮らす人々や生産者、観光との関わりについて、現地のワインツーリズムの実情を交えながらお話しいただきました。
また、「ブルゴーニュの事例をそのまま余市に当てはめるのではなく、そこから『では、余市なら何ができるのだろう?』と考えてみてほしい」とガクセーたちへ投げかけられました。

山梨、そしてフランス・ブルゴーニュ。それぞれの地域で実践されているワインツーリズムに触れたことで、ガクセーたちだけでなく参加者全体にとっても、改めて「余市だからこそできること」を考えるきっかけとなりました。

余市マチヅクリ大学2026

その後は、今回の宿泊先であり、夜の交流会の会場でもある「ワインときどき豚」へ移動しました。
余市のワインと食をコンセプトにしたユニークなこの場所で、代表のホンマトモコさんをヒジョーキンコーシに迎え、日中のヒアリングとはまた違った角度から、余市での暮らしや活動についてお話を伺いました。
これまでの経験や活動について伺う中で、ホンマさんが余市という地域に向き合いながら、自らさまざまな取り組みを続けていること、そして余市への思いが伝わってくる貴重な時間となりました。

こうして、盛りだくさんだった1日目の活動もあっという間に終了。
夜の交流会では、昼間のフィールドワークで各グループが調達し、自分たちで調理した食材が食卓に並びました。
余市で見つけた食材を囲みながら、ガクセーやキョージュ、参加者同士で会話を楽しみ、交流を深めながら1日目を締めくくりました。

Day2-ワイナリーを訪ねて、提案する

2日目は、実際に余市のワイナリーを訪れ、ぶどう畑やワインづくりの現場を見ながら、生産者の想いや地域とのつながりを学びました。

最初に訪れたのは、「Field of Dreams Winery」。
ホテルの併設も予定されているワイナリーで、宿泊や食、体験などを組み合わせた新たな観光の形を目指している場所です。
ワインづくりだけにとどまらない、余市における「ワインツーリズム」の可能性を考える訪問先となりました。

余市マチヅクリ大学2026

到着後は、ぶどう畑が広がる丘を実際に歩きながら、ワイン用ぶどうの栽培についてお話を伺いました。
丘を登った先に広がっていたのは、ぶどう畑と余市のまち、その向こうに海を望む雄大な景色。
そんな余市の自然を肌で感じながら、ぶどうづくりを始めたときのお話やこれまでの苦労、これから目指していることなどについてお話を伺い、ガクセーたちはワインが生まれる現場への理解を深めていきました。

続いて訪れたのは、「Domaine Mizuki Nakai」
中井観光農園に併設された新しいワイナリーで、若い世代が立ち上げたワイナリーとして注目を集めています。
観光農園とワイナリーが同じ場所にあるからこそできる取り組みもあり、「農業×観光×ワイン」を組み合わせた、新しい楽しみ方の可能性を感じられる場所です。

到着後は、まずぶどう畑を見学。その後、収穫したぶどうからワインがつくられていく醸造施設を案内していただき、実際のワインづくりの現場を見学しました。
さらに、併設する中井観光農園にも足を運び、ワインだけではなく、果樹栽培や観光農園も含めたこの場所ならではの取り組みに触れました。

その後は、観光物産センター「エルラプラザ」へ移動しました。
ガクセーたちは2日間で見て、聞いて、感じたことを振り返りながら、それぞれのアイデアを出し合い、成果発表会に向けたツアーの企画づくりに取り組みました。

成果発表会

そして、いよいよ2日間の集大成となる成果発表会の時間です。
各グループが、自分たちで考えたツアーをスライドにまとめ、参加者の前でプレゼンテーションを行いました。

最初は、Aグループの発表です。
Aグループが考えたのは、「余市でワイン旅」をテーマに、20代~30代の女性をターゲットとした1泊2日のツアーです。
アクティブに動き回るのではなく、余市の魅力を五感でゆったりと楽しむ「ラグジュアリーな時間」をコンセプトに、馬車でワイナリーを巡ったり、足湯に入りながら地元の料理を味わったりと、余市で過ごす時間そのものを楽しめるアイデアが盛り込まれました。
さらに、飲み終えたワインのボトルを活用したランプづくり体験など、ワインを「飲む」だけではない楽しみ方も提案されました。
このランプづくりのアイデアは、2日目の昼食にたまたま立ち寄ったお店に飾られていたランプから着想を得たもの。
2日間で実際に余市を歩き、さまざまな人や場所と出会う中で見つけたものが、ガクセーならではの視点で新たなアイデアへとつながっていました。

続いては、Bグループの発表です。
Bグループが提案したのは、2泊3日の「余市ワイン発掘ツアー」です。
発表では、1日目のヒアリング活動で聞いた「新しいワインをお客さんに届けることが難しい」という話をきっかけに、「まだ知らない新しいワインと出会いたい人もいるのではないか」と考え、ツアーを企画したことが紹介されました。
ツアーは、参加者が気になるワインを1本選ぶところからスタート。
そのワインがつくられているぶどう畑やワイナリー、販売している酒屋などを巡りながら、ワインに合う食事を味わい、時期によってはぶどうの収穫も体験するという内容です。
また、ツアーには、1日目のヒアリングや各グループの発表、ヒジョーキンコーシによる講義、2日目のワイナリー訪問などで知ったことや体験したことも盛り込まれており、2日間の活動を通して得たさまざまな発見が企画へとつながっていました。

最後は、Cグループの発表です。
Cグループが提案したのは、「思い出の1杯を、収穫から体験する旅」をコンセプトとした1泊2日のツアーです。
「観る観光」ではなく「つくる観光」をテーマに、ぶどうの収穫やウイスキーの製造現場の見学など、つくる側の視点から余市を楽しむ内容が発表されました。
ツアーでは、お酒を飲まない人も参加できるように「ジュースコース」と「アルコールコース」を用意するほか、温泉でゆっくりと過ごす時間や、余裕を持ったスケジュールを設定するなど、幅広い人が参加しやすい工夫も盛り込まれていました。

こうして、3つのグループによる発表がすべて終了し、参加したスタッフからもフィードバックが行われ、最後に余市マチヅクリ大学のガクチョーを務める荒井キョージュからの挨拶で締められました。。
荒井キョージュは、余市のまちを歩き、地域で活動する方々から話を聞き、ワイナリーを訪ね、それぞれの視点でツアーを形にした2日間の活動を、普段できない貴重な体験ができたと振り返りました。
そして、ガクセーたちが企画したツアーについて「ぜひ実現したい」と語り、今回生まれたアイデアを今後の活動へつなげていく考えが伝えられました。

札幌で「ワインとまちづくり」について学んできた荒井ゼミ。その学びの舞台を余市へと広げ、実際にまちを歩き、人と出会い、現地で感じたことを一つのツアーとして形にした2日間となりました。
今回ガクセーたちが考えたアイデアが、これからどのような形につながっていくのか。今後の展開も楽しみに、1泊2日の「余市マチヅクリ大学」は幕を閉じました。